lanerme_traditional_games

紙机戦は、机戦の駒を用いるが、盤を使わないゲームである。要するに、カードゲームのように机戦の駒を用いるゲームの総称である。 専用の札もあり、特にこれだけを指して「紙机戦」と呼ぶことも多い。

用語集

ゲームの道具

札(片/zuo1) プレーヤーがゲームに用いるカードである。 計48枚であり、構成は図の通りである。

点棒(値軸/mak2 la1) 点数の計算に用いる細い棒。白は1点、赤は5点、黒は25点のように点数を決めて用いる。紛失したり破損したりしやすいため、当連盟ではしばしば爪楊枝を染色して代用する。

札の構成に関わるもの

強さ (位/pui1) 一枚の札の強弱。断りがなければ図の左から右にいくほど強くなるものとみなす。 以下のように皇・王は同じ強さとみなし、船は同色札の代わりとなる。

色 (色/pok) 一枚の札の色。黒と赤の2種類がある。

ゲーム中の札運用に関わるもの

札の役

役 (集/dat2) 札の組み合わせ。札を出す際などに関わる。「同じ役」といった場合、同じタイプでかつ同じ枚数の組み合わせである必要がある。

役の種類

一枚(一/et2) 単一の札による役。

セット(友/hi1) 同じ強さの札による役。下に一例を示す。

連番(連/niek1) 同色で数字が連続する位の札による役。ただし、船を-1や9として扱ったり、王や皇を9として扱うことは多くの規則ではできない。下に一例を示す。

札の状況

山札(積片/xom1 zuo1) 各プレーヤーが取りやすい位置に置く札の山。

手札(手片/hop1 zuo1) ゲーム開始時、各プレーヤーに一定枚数与える札。ゲームの中で数が増減することがある。

公開札(付片/kun2 zuo1) プレーヤー全員に見えるように指定された位置に公開される札。

捨札(斥片/cuat zuo1) 手札から捨てられた札。

ゲームの時間的単位

手番(行/mok1) ある競技者の一手番。

ラウンド(日/kia1) 最初の人の1回目の手番から最後の人の一回目の手番までを表す単位。

季節(季/xot1) 終了条件を満たすまでの単位。

ゲーム(戦/kaik) 勝敗が決するまでの単位。

終季(ta xot1) 季の終わりを宣言すること。

プレーヤーの役割に関するもの

親(軸人/la1 cuk2) その季の最初に行動をする人。

子(周人/cei2 cuk2) 親以外の人。

得点の種類に関するもの

親の加点(位値/pui1 mak1) 軸人のみが持つ値。初期は2で、一回勝つごとに1ずつ加算される。

終了点(終値/ta mak1) 季が終わったタイミングで得られる得点。

ボーナス点(加値/at mak1) 終値に加点される得点。

臨時点 (時値/kak mak1) その条件下で得られる得点。

ルール集

行戦 (mok1 kaik)

トリックテイキングゲーム。 全員が順に札の役を出し、その強さを比較することを決める小さな勝負を繰り返す。 最後の勝負に勝利したプレーヤーが得点を得る。

準備

プレーヤー全員に以下の枚数の札を配る。 2~4人:10枚 5~6人:8枚 その後、適当な方法で親を決める。

ゲームの進行

一人が札の役を出し、その後ほかのプレイヤーがそれより強く、同じ色の役を出す。 季節のはじめのラウンドは親が最初に札を出す。次回のラウンド以降は前回のラウンドの勝者が最初に札を出す。

このルールにおける札の強さと役

札の強さ…通常通り。皇・王は同じ強さとみなし、船は同色札の代わりとなる。 札の役…一枚・セット(何枚でも)・連番(3枚以上)を用いることができる。

「同じ色の組み合わせ」について

もし黒無、赤無、赤無が出されているならば、続けて出すことができるのは黒、赤、赤からなる3枚セットの役だけである(黒、黒、赤などは不可)。

同じ色の役を出せない、もしくは出せるが出したくない場合は、その役と同じ枚数分だけ札を伏せて捨てる。 全プレーヤーが1つずつ組み合わせを出すとラウンドが終了し、ラウンドの勝敗判定を行う。最も強い役を出した人がそのラウンドの勝者となる。 ラウンドの勝者は勝負に自らが出した札を公開札として、誰が出したか分かるように端に寄せておく。その後新たなラウンドとなり、前回のラウンドの勝者が札の役を出す。 全ての札を出し終えたとき、最後のラウンドの勝者がその季節の勝者となる。

季節の勝者は季節の敗者一人ずつからそれぞれ点数を得る。それぞれの敗者が支払う点数は以下の通り。

点数

季節の勝者…(6から自身の手元にある公開札の枚数を引いた数)点 (マイナス点になることもあり、その場合は 軸人の場合、これに親の加点を掛け算する。

点数計算例

甲、乙、丙でゲームを行っていて、甲が親、親の加点が2である場合の計算例を示す。 甲が7、乙が2、丙が1の公開札を持っていて、乙がこの季節の勝者となった場合、 甲は乙に(6-7)=-1に親の加点2を掛けた-2点を支払い(=乙から2点をもらい)、丙は乙に(6-1)=5点を支払う。

終季(ta xot1)

麻雀のようなセットコレクションゲーム。 初期手札5枚から札を1枚引いて捨てることを繰り返し、6枚で上がり形を作ることを目指す。

準備

全プレーヤーに札を5枚ずつ配り、親を決める。

ゲームの進行

親から順に手番が移動する。 手番には山札から札を引き、不要な札を捨てることを繰り返す。 例外:札が捨てられた時に、その札で3枚セット・3枚連番・4枚セットが作れる場合に限り、その札を取ることが出来る。(開) ただし、出来た役は公開札とし、相手に1点を支払わなければならない。

もし札を引いた時、もしくは他のプレイヤーが捨てた札を使って、手の全てが複数の集で構成されていた場合は、終季することが出来る。

終季できる役

札の強さ…通常通り。皇・王は同じ強さとみなし、船は同色札の代わりとなる。 札の役…2枚セット・3枚セット・4枚セット・3枚連番を用いることができる。

上がり形の一覧 [2枚セット][2枚セット][2枚セット] [2枚セット][4枚セット] [3枚セット/3枚連番][3枚セット/3枚連番]

その時の手札の組み合わせによって点数をやり取りする。 自身が札を引いて終季する場合は自分以外の全員から点数を得る。 他のプレイヤーが捨てた札を使って終季する場合はその札を捨てた人から点数を得る。(ただし、この場合は1点を払う必要はない。)

終季した人は次の季節の親となる。

点数(役)

終了点 × 親の加点 + ボーナス点 + 臨時点

終了点

終季…2点:終季した際に自動的に付与される基本点 同色…1点:終季した手の6枚がすべて同じ色である 六連…1点:終季した手が2つの三連からなり、6枚の数字が連続している(二つの三連の色が一致している必要はない) 一周…3点:一周目での終季

ボーナス点

船で代用した場合は入らない。 皇王…1枚につき1点 光…1枚につき1点:このルールを採用する時、最初に積から一枚抜き出し公開し、光とする。また加えて終了時に積から引き、これを光とする。

臨時点 (時値/kak mak1)

四友…即座に全員から1点をもらう。 開…札をもらった相手に1点払う:他人の捨てた札で3枚セット・3枚連番・4枚セットを作ったとき。

このルールにおける点数収受は地方や世代といった社会集団に応じて大きな差異がある。

値戦(mak1 kaik)

テキサスホールデムのようなゲーム。 共通の公開札と手札を組み合わせてより強い役を作り、点数を賭けた後に勝負する。

準備

各プレーヤーに3枚ずつ配り、さらに3枚を共通の公開札とする。 その後、親を決定する。

ゲームの進行

このルールは札の交換を行うフェイズと賭けを行うフェイズ、勝負するフェイズによって構成される。

札の強さと役

札の強さ…通常通り。皇・王は同じ強さとみなし、船は同色札の代わりとなる。 札の役…強い順に3枚セット>3枚連番>2枚セット>一枚である。

札の交換

最初の1ラウンドに各プレーヤーは札の交換を行う。交換は以下の2種類があり、そのうち1種類を選択する。

・手札1枚を公開札1枚と交換する。 ・山札から2枚を引いてそのうち1枚を手札と交換する。この際、交換した際の捨て札は公開札に追加される。

賭け

全プレーヤーは1点を場に支払う。 親がその勝負に参加かするかどうかを決定する。不参加の場合、親は次プレーヤーに移る。 親は1点から5点の範囲で基準点を設定し、その点数を場に出す。 それに対して子も参加するかどうか決定し、参加の場合は基準点を出す。 これを3ラウンド繰り返す。 不参加を選んだ場合は札を伏せる。この場合それ以降この賭けには参加できなくなる。 なお、親は手番が来るたびに基準点の変更をすることができる。

勝負

3ラウンドの後、勝負をする。最も強い役を出した人が勝者となり、場の点数を総取りする。

連友(niek1 hi1)

大富豪のようなゲーム。 手札を順番に場に出して行き、出来るだけ早く手札を無くすことを競う。

準備

プレーヤー全員に均等に札を配る。親を決定する。

札の強さと役

札の強さ…通常通り。皇・王は同じ強さとみなし、船は同色札の代わりとなる。 札の役…一枚・2枚セット・3枚以上のセット・連番(三枚以上)・連番のセットを用いることができる。 札の色…このゲームでは、札の色を無視する。

札の特殊効果

将…出した枚数分、任意の強さの札全てゲームから除外するか、捨て札の中から手札に加える。

連番のセットについて

たとえば、[1][1][2][2][3][3]のような役である。

ゲームの進行

親が好きな役でカードを出す。子はそれより強く同じ役でカードを出すか、札を出さない選択をする。 なお、3枚以上のセットはこの縛りを無視していつでも出すことができる。 役を一つ出すか札を出さない選択をしたら、手番は隣に移る。 何度か繰り返し、最後に出した人以外が出さなかった場合は最後に出した人が親となり、新しく役を出す。 これを繰り返し、一番最初に手札を全てを出し切った人が勝利となる。

小猫(ni1 ne2)

手札を素早くなくすことを競うゲーム。札の強さなど、一般的な紙机戦のゲームとは違う特徴が多い。

準備

プレーヤー全員に以下の枚数の札を配る。 2~4人:12枚 適当な方法で親を決める。

札の強さと役

札の強さ…無は同色札の代わりとなる。船は唯一皇に勝つ。皇は王と同じ強さとみなされない。 札の役…一枚・セットを使うことができる。

ゲームの進行

親が役を出す。子は自分の手番に、このラウンドに参加するかしないかを決める。 参加の場合:自分の手札から1枚を公開し、同じ色を含みそれより強い札か、同じ強さでより枚数の多い役を出す。 不参加の場合:山札から札を3枚引く。 参加を選択して以降は、自分の手札から1枚を公開し、同じ色を含みそれより強い札か、同じ強さでより枚数の多い役を出すこととなる。 一人を除いて全員が不参加となった場合、その一人はその時点で場に出ている全ての札を得て、次の親となる。 手札がなくなった人はその時点で手札の枚数が一番多い人の手札の枚数分の点数を得る。 山札がなくなった時点で季節が終わり、最大得点者が勝者となる。また、勝者が親の場合はさらに1点を獲得する。

値木(mak1 hup1)

数字の足し算を特徴としたゲーム。役や強さを気にする必要がなく、初心者向けのルールといえる。

準備

各プレーヤーに6枚ずつ配り、山札から2枚を公開札として配置する。その後、親を決定する。 このゲームでは最初に置かれた公開札をそれぞれ道と呼ぶ。

プレーヤーは場の道に対し、合計値が場の札の数と同じになるように出す。 例えば、筆(6)が出ていれば、筆(6)を出すか、例えば、兵(1)と弓(2)と車(3)や、と無(0)と車(3)と車(3)のような札を出すことができる。 また、二つの道を統合することもできる。例えば、兵の道と、兵の道があれば、弓を出すことができる。 札が出せない、もしくは出したくない場合は、山から引いて道を増やす。 以上を繰り返し、全て札を出し切ったプレーヤーが勝利する。 皇、王、船は出した瞬間にすべての道を消し去り、新たな二本の道を作る効果がある。 ただし、これらが道の一番最初の札となった場合は、どんな札でも自由に一枚だけ出すことができる。

開樽(nam2 to1)

各プレーヤーに2枚の手札、任意の量の点棒を配る。

札の強さと役

札の強さ…通常通り。皇・王は同じ強さとみなし、船は同色札の代わりとなる。 札の役には種類ごとに強さがある。強い順に筆兵無傾>皇王>地心>行行>馬弓兵>闇戦之集>連>友>一 役の強さが同じ場合は数の大きさを比較し、それも同じ場合は同色役のほうが強い。

本ゲームは賭けと札の公開を繰り返し、その後判定をすることによって構成される。

賭け 場に参加料を出す。

順に以下の行動を選択する。 無行:何もしない。このとき負けとなり、参加料は没収される。 加行:直前の競技者以上の点数を賭ける。

なお、軸人が無行を選んだ場合、次のプレーヤーが軸人となる。

札の公開 加行を選択し、無行を一度も選択していない競技者が同時に札を公開する。

判定

最も強い役を参照して勝敗を決める。それで決まらない場合は次に強い役を作り判定する。